手のひら地蔵をお渡し、どうぞ「こころの支え」にと願う

 昨年の12月20日に『北海道・東北臨床宗教師会発足式&カフェ・デ・モンクin気仙沼』ということで、五右衛門ヶ原野球場仮設住宅にて、カフェデモンクを実施いたしました。

この時は「カフェデモンク・クリスマススペシャル」として、牧師さんによるお祈りや、バグパイプによる讃美歌の演奏などがあり、他ではお目にかかれないスペシャルなクリスマス会となりました。

 ここでもカフェデモンク恒例のお地蔵さん作りやビーズを使ったお数珠作りなどもおこない、住民さんも楽しくお喋りしながら、手を動かしていただきました。

 今回は、その時制作したお地蔵さんが完成しましたので、カフェのマスターである金田諦応師(曹洞宗/カフェデモンク主宰)がお越しになり、お地蔵さんを作った7名の住民さんに、ひとりひとり祈りを込めて手渡されました。

 数日前に金田師より連絡を受けて、お地蔵さんをお渡しするので7名の住民さんにお集まりいただくようにお声がけさせて頂きました。その際に、2名の方とお話しできましたが、みなさんお地蔵さんが出来上がるのを心待ちに大変楽しみに待っておられたようでした。こうして出来上がったお地蔵さんをお渡しする事が出来てとても良かったと思いました。

 昨年12月のお地蔵さんを作った際は、粘土をこねて形を作り、頭部と胴体を丸めて、つなぎ合わせ形を整えます。そこに衣を着せてあげ、さらに顔には大きな耳をつけてあげました。この大きな耳はお地蔵さんにしっかり愚痴を聞いて貰えるように、また幸福が訪れますようにと福耳に作りました。最後に顔を描き入れて終わりです。ある方は亡くなられたご主人を想い、ある方は津波で亡くなった近所のまだ幼い女の子のことを想い、それぞれに思いを込めてお地蔵さんを作っていらっしゃいました。

 そして、今回はその粘土のお地蔵さんに釉薬が塗られ、釜で焼き上げられて、可愛らしいお地蔵さんとなって、住民さんのもとに届けられました。
 皆さん本当に嬉しそうに手のひらにのせて、頭を撫でて、語り掛けておられました。このお地蔵さんが、どうぞ住民さんのこころの支えになって下さることを願うばかりでした。


 この五右衛門ヶ原には、運動場、野球場、テニスコートと3ヶ所の仮設住宅がありますが、気仙沼市には全92カ所の仮設住宅があります。気仙沼市では学校の校庭や契約延長が見込めない民地などの19団地を集約対象とした仮設住宅の集約化を進める計画を発表いたしました。早いところでは来年6月末までに拠点となる団地への移転を求め、全体としては平成30年頃までに集約団地は撤去する計画のようです。
 五右衛門ヶ原では、運動場住宅が拠点団地となり、他の野球場やテニスコートなどは撤去の対象となっているようです。ほとんどの住民さんは、今後の移転先として災害公営住宅や防災集団移転など移転先を決めているようですが、工事の遅れなどにより、いつ転居できるか不透明な状態であり、不安の声が聞こえて来ます。仮設住宅は耐用年数をとっくに超えており痛みが激しい状態であり、そこに来て仮設集約化で、仮設から仮設への転居となれば、気持ちも落ち込み、厳しい状況が予想されています。