お帰りなさい金光大阪吹奏楽部  4年ぶり「演奏ボランティア交流会」

 2011年10月29日、金光大阪高等学校の吹奏楽部メンバー26名と教頭先生、顧問の先生を含めた30名が五右衛門ヶ原野球場仮設住宅を訪れ、感動と笑顔が溢れる演奏を披露してくれました。その時一行は前日の夕方大阪をバスで出発し、当日の午前中に気仙沼に到着。午後から仮設住宅で演奏を行い、その後は避難所となった紫会館(自治会館)で自治会長から震災当時の話しを聞き、地元の方々やボランティアで駆け付けた人達と夕食を共にして交流を深め、そして夜にはバスで大阪に帰るという弾丸ツアーを敢行されました。

 そしてこの度4年ぶりに、同じく五右衛門ヶ原野球場仮設住宅での演奏が実現しました。現役生25名、吹奏楽部OB9名、先生方4名の合計38名が4年前同様のハードスケジュールのなか被災者に音楽の力で元気を届けようと気仙沼を訪れました。

  一行は10月30日(金)の夜に大阪を出発し、翌31日午前10時に気仙沼の五右衛門ヶ原野球場仮設住宅に到着して楽器を降し、午前中は被災地を見学、仮設商店街で昼食を食べて、午後2時半からリハーサルを開始、午後3時半には本番となりました。徐々に気温が下がり風も出て来て、演奏するにはちょっと厳しいコンディションでしたが、現役生、OB生の混成チームは元気よく演奏を披露してくれました。 

 定番の曲に加え「演歌のメドレー」「ふるさと」「港町ブルース」など工夫を凝らした曲目があり、最後のアンコールの曲は、カーペンターズの「青春の輝き」を日本語の歌詞で合唱してくれました。「逢えないこの切なさを、愛の力にして、逢えるその時まで温めよう。さよならはまだ言わない・・・」というサビのフレーズが心に染み渡りました。 演奏終了後、生徒達は手書きのメッセージカードを観客の皆さんに渡し、気持ちを伝えていました。

 午後5時からは集会所で交流会が開かれました。住民の方々が用意してくれたサンマのすり身汁をいただきながら、金光大阪のみなさんと五右衛門ヶ原野球場のみなさんで、楽しい時間を共に過ごすことが出来たようです。  

 一行は仮設住宅を後にして、夕食を頂くために金光教気仙沼教会を訪れました。メニューは秋刀魚の塩焼き、おでん、秋刀魚のすり身汁。秋刀魚のシーズンですからご堪能いただきました。 秋刀魚の塩焼きは、教会の駐車場にバーベキューコンロ3台で炭火焼し、秋刀魚60本を焼きました。

 焼き手には、東京から駆けつけてくれた板東さん、南町の小野寺さん、底上げ(気仙沼で活動しているNPO)の成宮さん、神田さんが手伝ってくれました。

 食事を終えたみなさんは、近くのホテルで入浴し、午後8時にはバスで大阪に向けて出発していきました。本当にお疲れ様でした。


 今回の演奏活動の発起人は4年前に五右衛門ヶ原で演奏し、現在は大学3年生となった吹奏楽部OBの星山真緒さんです。星山さんは卒業後、大学生となって再び被災地を訪れました。そして「もう一度、五右衛門ヶ原で演奏したい」という願いを持ち、1年間かけて学校との調整、OBへの呼びかけを行なって、今回の演奏ツアーを実現させることが出来たそうです。

  「彼女の熱意がみんなを引っ張って来ました。」「よし!行こう!と決まれば、スーッと物事が進んでいきました。」と教頭先生は、星山さんの熱意と行動力、それに賛同して行動する学校やOBを誇らしげにお話し下さいました。

 4年前に観た被災地、仮設住宅での演奏活動と被災者とのふれあいが、星山さんのなかで大きな経験となりました。大学生となって再訪した被災地で「もう一度、五右衛門ヶ原で・・・」という思いを温め、その思いの熱がOBを動かし、先生方を動かし、様々な困難を乗り越えて、今回の演奏活動が実現しました。

 そして今回参加した25名の現役生は、被災地での演奏、被災者との交流など、普通の高校生活では経験することのない素晴らしい貴重な経験を得ることが出来たと思います。そして何よりも、熱意をもって引っ張ってくれる先輩達や先生方がいることを現役生たちは感じ取っていたのではないでしょうか。

 音楽の力は素晴らしく、人に元気や勇気や感動を与えてくれます。震災から5年目を迎えようとしている今、人々の心には「風化」が見え隠れしているなかで、熱意をもって再び被災地へ演奏に訪れてくれるということは、本当にありがたいことだと感じます。これからもその熱い思いを持ち続けて頂きたいし、また次の世代へ伝えていって欲しいと願います。


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コメント: 1
  • #1

    大宮 松本尚 (金曜日, 06 11月 2015 16:18)

    お疲れ様でした。ありがとうございました。
    熱い思いを持ち続けてくださった星山さんはじめ、皆さんに感謝です。
    これからは寒さが厳しくなります。
    皆さん、お体大切になさってください。